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by tuga369
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『ムサン日記~白い犬』を見ました。

22日、朝日ホールで『ムサン日記~白い犬』を見ました(はーちさん
と当日会場で待ち合わせて、チケットを受取りました。ありがとう!
はーちさんを待ってる間、ロビーで『豊山犬』のQ&Aを聞いていた
のですが、良い映画のようで、Q&Aが盛りあがり延長していました)

以下『ムサン日記~白い犬』の感想です。

映画は監督の友人の故チョン・スンチョル氏をモデルに脱北者の現状を
描いた作品で、命がけで脱北しても脱北者という事を理由に仕事がなく
生活が困窮していること、韓国に知人や友達がなく孤独で、差別や偏見
などにさらされていること、同居していた脱北者との衝突と別れなどを
淡々と描き、殺伐とした生活の中でスンチョルが唯一心の寄りどころに
しているのは、拾った白い犬、「ペク」との生活。しかしそれも長くは
続かない…という厳しい現実から目をそらさない、監督の視点を感じる
映画でした。監督がスンチョルを演じていて、おかっぱ頭のときの外見
がちょっと松本人志に似ていると思いました。個人的に好きなシーンは、
スンチョルがアルバイトするカラオケボックスにいるホステスさん達が、
脱北者のスンチョルが唯一知っているカラオケの歌 ― 讃美歌をかれと
一緒にディスコ調に歌うシーンでした(笑)

上映後に監督へのQ&Aがあり、だれかが質問しそうな質問だったので、
今回はおとなしくしていようかなと思ったのですが、質問が出なかった
ので手をあげたら当たっちゃいました(笑)(なんか映画祭で必ず質問
して当たっているなあ。2番目に質問しました)

映画のラストで主人公スンチョルの愛犬が車に轢かれて死んでしまうの
ですが、スンチョルが愛犬を見たまま茫然として、何もせずに終わって
しまいショックだったので、Q&Aで監督に「かわいがってた犬が死ん
だのに(主人公が)何もしなかったのはなぜですか?」と質問してみま
した。監督によると死んだ「犬」は、「過去のスンチョル」の象徴で
「過去と決別して新しく生まれ変わり韓国社会で生きて行くスンチョル」を
表現している、また犬に対してスンチョルが何もしなかったのは過酷な
状況に置かれている脱北者に対して、手を差し伸べたくても何もできない
現在の韓国社会の状況を表している、とも仰っていました。

質問者は6人くらいいて、最後の質問、「監督もきょうナイキの服を
着ていらっしゃいますが、スンチョルが着ているダウンジャケットの
ブランドがナイキなのはなぜですか?」がおもしろかったです。監督
いわく、映画の中で何度か登場する「ナイキ」と「マクドナルド」は
資本主義社会の象徴として登場させた。脱北者が韓国へ来てまず初めに
することは洋服を買う事で、はじめは1970年代くらいの古い服装で、
だんだん流行やブランドを知るようになると、周囲に脱北者だとわから
ないように、良い服装やブランドの服を着たくなる傾向があるようです。
と仰っていて、なるほどと思いました。

他の質問では「街中の人混みの中を走ったり、交通事故になりそうな
危険なシーンがあったのですが、交通規制等をして撮影したのですか?」
という質問があり、回答は「低予算映画だったので、交通規制などは
出来なくて、そのまま道路で撮っている。殴られるシーンなども本当に
殴っている」と聞いてびっくりしました。『ムサン日記~白い犬』は
来年の初夏にイメージフォーラムで上映予定だそうです。
by tuga369 | 2011-11-24 00:00 | 映画(영화)・ドラマ