『私の男』を見て来ました。
2014年 06月 16日
個人的にあまり楽しめなかった『夏の終わり』の監督の映画だったので
心配してたのですが(ファンの方すみません)結構おもしろかったです!
ラストシーンが原作と違っていて、よくわからなくて、海外コンペ向きの
作品だなあと思いました(海外映画祭の質疑応答で質問が来そうだ…)
そういえば釜山映画祭にも出品するそうです(父娘でアレな話なので、
ちょっと心配;)
原作では主人公の9歳から24歳までを描いていて、けっこう長いので、
映画に出てこないところや、設定が若干変わってる部分がありますが、
(花と東京へ逃げて来た淳悟の仕事は原作ではバイク便のバイトですが、
映画ではタクシー運転手になっている等)映画版はこういう感じなのかと
自然に見られました。それにしても高良君があんなこと(原作にない)に
なるとは…!(笑)
流氷がきしむ音を初めて聞いて(子供のころ住んでたのが札幌だった
ので流氷を見たことがありません。紋別も行ったことないなあ…)流氷
同士がぶつかるとこんな音がするのか!と思うと共に、北海道の冬の
激しい美しさが良く出ているなあ…と思いました。まっ白な雪のシーンは
きれいなのに、東京へ来ると色彩がごちゃごちゃしてきて対照的です。
二階堂ふみさんが酷寒の流氷の海の中へ落ちるシーンや、淳悟との
濃い絡みのシーンもしっかり演じていて、女優魂を感じました(何か賞を
取りそうな予感…)中学生ごろのシーンでは子供なのに大人の女のひと
みたいな部分が見え隠れしていて、ふしぎな倒錯感があり、ラストシーン
(26歳ごろかな?)では妖艶さを感じるほどになっていて、花の成長と
時間の経過を感じました(結婚式まで見たかったなあ…)
自分が死に追いやった大塩老人の葬儀で食事をしている(精進落としを
食べている)花と何も口にしない淳悟、殺人を犯したあとに動けなくなり、
台所でうずくまっている淳悟と、殺人を犯し、海に落ちても自力で這い
上がって家へ帰る花が対照的で、後に淳悟は過去の自分の行いを
「毎日、死ぬほど後悔」して廃人のような生活を送るようになるのに対し、
花はふつうの男性を見つけて結婚し、新しい生活を始めようとするのが
まったく違っているなと思いました(男は弱くて、女はたくましい?!)
花と淳悟はお互いにかけがえのない存在で、相手をとても大切に思って
いて、ふつうの男女と思えば何でもない部分も「親子」というフィルターを
かけると「うーん。やっぱりNGだよなー」となってしまう。(9歳まで離れて
生活していたという部分に救いがありますが)大塩老人(藤 竜也さんが
良かったです)が云ってることは「常識的」で「正しく」て「善」なのですが、
花と淳悟から見るとふたりの世界を崩壊させる「脅威」「害悪」でしかなく、
花と淳悟の場合は「被災者」とか「孤児」とか特殊な状況が重なってますが、
家族って、血のつながりってなんだろうなあと考えさせられる映画でした。