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写真を撮るのがすきな愛のブログです。リンクフリーです☆


by tuga369
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若冲と江戸絵画展。

7月7日に若冲展に行って来ました。若冲と江戸絵画を一同に
見られるかと思うと、緊張して朝ごはんが食べられない(変だ)
会場には11時ごろついたのですが、平日なのにけっこうひと
(中高年多し。たまに若いひとがちらほら)が来ていた。
展示は一章~五章とジャンルわけしてあるのですが、題三章
「エキセントリック」が若冲さんいっぱいでおもしろかった。
全体で109点の作品が展示してあったのですが(全ての絵を
見るのに3時間くらいかかった。若冲展だけで満腹というか、
平常展はさらっと流すだけで手一杯という感じ)それでは特に
気になった絵について。(№は出品目録より)

№35「撫子に蜻蛉図」(なでしこにとんぼず)亀岡規禮筆

絵の中で逆S字につらなる撫子の葉と透けるような蜻蛉の描写が
繊細ですばらしいです。規禮の「禮」という文字は豊かさを示す
と書くのですが、ほんとうに心が豊かじゃないとこういう絵は
描けないだろうなあと思った。

№42「葡萄図」(ぶどうず)伊藤若冲筆

縦長の細長い紙に薄墨一色で書いてある絵なのですが、しっとり
とした葉にポキポキと複雑に屈折する葡萄の枝と、神経質そうに
くるくると曲がる葡萄のつるの先端。実はぽつぽつと房スグリの
ようにまばらについている。葉と枝と実のリズム感を感じる絵
ですが、余白もうつくしい。墨一色なのに独特の世界観があって
うまいです。葡萄の絵は若冲コレクターのジョー・プライス氏が
一番初めに買った絵ということで、この一枚の絵から600点にも
及ぶ日本美術のコレクションが始まったのだなと思うと感慨深い。

№73「ニ美人図」伝喜多川菊麿筆

プライスコレクションのブログで画像をみて、おおこれはかわいい
と思ったのですが、実物は畳一畳くらいの大きさがあって、もっと
かわいい。現代で云うとアイドルのポスターみたいなものだろうか。
遊女が弓なりに身を反らせている絵で(イナバウアーにあらず)
遊女の顔から、ゆったりと重ねられた襟元、小さな白い指、ふわりと
末広がりに広がっている着物の裾(あやめと八橋が描かれている)
体にそうようにゆったりと流れる麻葉柄の着物、格子柄の赤い長襦袢、
微妙に反っている足の指のつまさきへと滝のように流れる衣装と体の
S字曲線を視線で追ってゆくと、とても気持ちが良い。
http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060601/p1

№87「波浪飛燕図」(はろうひえんず)」岡本秋暉筆

はじめ「ハロー飛燕図」だと思った。掛け軸で、波しぶきの上を
二群の燕が飛んでいるという絵。ざぶざぶとしぶきをあげる波は
全て薄墨で描かれていて、燕の羽の黒、お腹の白、喉(のど)の
薄い朱色だけで構成されているのに、海を渡る(そういえば燕は
渡り鳥)海上の一コマを切り取った、とてもダイナミックな絵に
なっている。うちに帰ってから気づいたのですがこれもブログで
見て気に入った絵。すきな絵は無意識の内に記憶しているらしい。

№98「柳に白鷺図屏風」鈴木其一筆

柳の木を背景に画面左上に一羽の白鷺が飛んでいるという静かな絵。
改築前の根津美術館で鈴木其一の屏風を見たのですが、解説によると
この絵師は一枚の絵の中で季節の移り変わりであるとか、時間の経過
を描くのが特徴だそうです(うわあ全然気づかなかった。そういえば
鳥をたくさん描いた屏風は時計の秒針のように淡々としているな~)
これはガラスケースなしの展示室にあり、外から入る朝の自然光、
昼の光、おそらく夜のろうそくの光をイメージした照明によって
さまざまな表情を見せる。屏風の余白に多用されている金箔や銀箔、
雲母などが部屋の中に入ってきた光を集めて反射しレフ板のような
役目をすると以前何かの本で読んだのですがほんとうだ。屏風って
光によって全く違って見えるんだな~。すごい。粋な演出ですね。
あと1Fの片隅でやっている(親と子のギャラリー)展示では、
日本画に使われる岩絵の具の顔料(ラピスラズリや孔雀石など)の
サンプルの展示と(珊瑚を砕いた絵の具がきれい)視点を変えて
絵を見るということで、畳に寝転がって屏風を見ることが出来る
(屏風が描かれた当時のひとは座ったり寝転がったり好きな姿勢で
屏風絵を見ていたらしい。ぜ、贅沢だ…)
by tuga369 | 2006-07-08 00:23 | 工芸(공예)