母性というもの。
2006年 06月 10日
1984年8月号「特集山岸凉子・1」がほしかったのですが、棚になかった。
「特集山岸凉子・2」は日出処の天子と並行して描かれた作品の特集で、
悪夢(80)、ダフネー、狐女、鬼来迎(81)、汐の声(82)など母子関係が
テーマの作品が多いのに気づいた。「母なるものの闇の側面を追求する」
という文章に山岸作品は母子関係を繰り返し描いているという指摘があり
おもしろいなと思った。心理学で「グレートマザー」という用語が出てくるの
ですが、鬼子母神みたいなもので、母性は子供を愛し保護する反面、
それが過ぎると逆に子供を抑圧したり、押しつぶしてしまう(「メディア」など)
という怖い面をもっている、というような話だった。きのう「鬼来迎」を読んだ
ばかりで、(鬼来迎には美しく優しい母というイメージの深草夫人が登場する)
山岸作品には「良い母」(「ヤマトタケル」では叔母であったりする)と冷酷な
「悪い母」が登場するということに気づいた。
それにしても母子関係ものの作品を読んでいると、女性の身体の量感の
描写が裸婦デッサンとしか思えない(笑)身体の描写を見ていると人物の
ポーズ全体から手や脚など細部まで観察したあとがありかなりたくさんの
人物デッサンをしている気がする。