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写真を撮るのがすきな愛のブログです。リンクフリーです☆


by tuga369
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あの人は遠くへ。

2008年の12月に見た映画「님은 먼곳에 」(ニムンモンゴセ・あの人は
遠くへ
)のレポです。

映画のあらすじは平凡な主婦であるスニ(スエ)がベトナム戦争に行った
旦那さん(オム・テウン)を探しに行く話、というと情熱的な感じですが、
実際はほとんど会話のない夫婦で、スニが軍隊にいる夫をたずねて月一回、
面会するシーンがあるのですが、夫に「お前、おれの事を愛してるのか?」
と聞かれてもスニは答えることができません。それもそのはずで、夫には
愛人がいました。(以下、長文です)



面会から帰って来たスニが同居している姑に「息子の様子はどうだった?」
と聞かれて、思いつめたように「あの人には恋人がいるんです」というと、
当然のように「愛人と正妻は別だよ」という姑(息子が外に女性をつくり、
家に寄りつかないのはすべて嫁が悪いという考え)やがて夫はスニから逃
げるように黙ってベトナム戦争へ行き、それを知った姑は半狂乱になります。
息子が黙って戦地へ行ったことで姑はスニを憎みますが、スニは実家にも
戻れず、高齢の姑の代わりにベトナム戦争へ行った夫を探しに行きます。
この時代に女性ひとりでベトナムへ行き、夫の捜索は無理なのでは…という
つっこみはさておき、スニはベトナムへ行くために街の役所のような所で
(ベトナムへ)「行かせてください」と哀願するセリフがあり、(おそらく
海外への渡航が規制されていた時代だと思います)思わず、「王の男」の
コンギルのセリフを思い出しました。

役所(旅行代理店?)にものすごくうさんくさい興行師(ジニョン兄)が
やってきて、ベトナムに慰問公演に行くからついてくるか?とスニを半ば
強引にスカウトします(笑)ジニョン兄はバンド仲間とスニをつれて船で
ベトナムへ行き(船の中でスニは野暮ったいという理由でsunnyに改名。
サニーという名前なのに、ソニーとしか聞こえませんでした)ベトナムに
上陸後、馴染みのクラブでバンド営業するのですが、前の借金を返済して
ないことで(ジニョン兄演じるチョンマンはお金にだらしないという設定)
クラブのオーナーとトラブルになり、ただ働きする事に。ジニョン兄達は
クラブから逃げて、米軍基地へ慰問公演という名目で営業に行きますが、
(この辺でジニョン兄の知人でチョン・ギョンホ君が登場。キョンホ君
はベトナムのクラブでバンドマンをしてますが、もちろんジニョン兄に
借金を返してもらっていません)うまくゆかず、韓国軍の基地へ営業しに
行くとサニーの歌がなぜか大受け(韓国軍兵士がバンドに合わせて踊り
まくり、ちょっとノリが良すぎる気が…)慰問公演は成功し、お金も入り
ジニョン兄はほくほくですが、スニは夫の捜索に非協力的なチョンマン
(ジニョン兄)に「自分は夫を探すためにベトナムに来た。約束が違う」と
抗議します。スニが「自分ひとりでも夫のいる戦地へ行く」というと、
ジニョン兄は「勝手にしろ」とか云ってもめてるうちに、武装ゲリラに
捕まってしまいます。スニ達は武装ゲリラのエリアに入ってきた不審者
という事で、疑いをかけられますが、スニの歌で窮地をくぐりぬけます。
この映画、何かピンチがあるとスニの歌でクリアーしてゆく気が…(笑)

スニ達は武装ゲリラの村(地下のほら穴で生活し、子供に勉強を教えて
いたりしました)に軟禁されますが、米軍がやってきて武装ゲリラの
リーダーが射殺され、スニ達は再び捕らわれの身になります。かれらは
スパイ容疑をかけられますが、チョンマンが米軍の前でアメリカ国歌を
歌って助かります。スニは米軍に夫の捜索を頼み、韓国軍のヘリで夫の
いる戦地まで行きます(夫役のオム・テウンはひたすら戦場で戦ったり、
爆撃から逃げ回っているシーンばかりでした)スニは夫と戦地で対面し、
無言で夫の頬を4回平手打ちします。イ・ジュニク監督によると、この
平手打ちにはそれぞれ意味があり1回目は夫の「おれを愛しているか?」
という問いへの答えで、「あなたを愛しているかですって?!」という
意味があるそうです。上映後の質疑応答の内容をよく覚えてないのですが、
このシーンは「なぜ何の非もない自分が批難されなくてはならないのか?」
というスニの憤りが表現されてるらしいです。映画で夫の前に立つスニと、
詫びるように膝をついている夫のシーンを見て、放蕩息子を連れ戻しに来た
母親のようだと思いました。はじめスニが何のために夫を探しに行くのか
よくわからなかったのですが(愛してもいない夫のために危険をおかして
探しに行く必要があるのか疑問でした)映画を見るうちに姑と夫に従順な
田舎の平凡な主婦が歌うことでだんだん意志的な女性になってゆき、最後
には夫が自分の非を認めるという、スニのプライドを回復する話だったの
かも、と思いました。監督はスニが夫を探しに行った理由は(妻の意地と
いったものではなく)「人間としての崇高なもの」と仰ってたような気が。
by tuga369 | 2009-01-04 01:07 | 映画(영화)・ドラマ